さぞかし痛いでしょうね……終わったら必ず手当てしてあげますから、今はお仕置きだと思ってください。
(マネキンに対しそう呟き、ナイフが直撃した直後藍の散弾がマネキンに続けて命中する)
動きも鈍い……多分まだ妖魔には成り上がってなかったみたいですね。
さて、処理の準備を始めないと……
(痙攣し動かなくなったマネキンを見ると、生気を吸われ衰弱している男性の方へ人形たちを向かわせる)
(藍は火縄銃をキーホルダーの姿へ戻し、携帯のカメラを起動しているようだった。おそらく彼女の身の回りにもそういったことに精通した人物がいるのだろう)
写真を撮り終えたらその子の様子を見させ……っ!!
(それは突然のことだった。動かなくなったはずのマネキンが再び立ち上がり欄を押し倒すようにして飛びついていた)
(男性の生気を吸ったことによりさらにヒトへ近づいているのか人間のような口と舌が生成され、藍に対し無理やりにキスをしているようだった)
藍さん!!
あの子たちは…………遠い……!!
(携帯の落ちる音が聞こえ、キーホルダーとなっている火縄銃も彼女の手から離れていた)
(雅の管理する人形たちは男性の容態を確認するために倉庫の奥へ向かっていたため藍の方へ向かわせるには少し時間がかかってしまう)
その人から離れなさい!!
(一瞬雅の身体が糸が切れたようにふらつくと人とはかけ離れた速さでマネキンに距離を詰め、マネキンから藍を剥がそうとする)
力が強い……、そこまでしてヒトに……
ミヤビ、ごめん……ちょっと無茶するよ
(あまり時間をかけていては藍も男性の様に衰弱してしまう、そうなれば藍の命は危機に陥り、取り込んだ生気によってマネキンも妖魔となってしまうことが考えられる)
(それは人形を愛する雅にとって避けるべきことで、雅は雅の体を使いマネキンの両腕に掴みかかる)
くっ……さすがに異形相手だと力を使う……
もう少し…………藍さんから離れて!!
(張り詰める糸と木の軋む音が腕から聞こえる中、藍を引き剥がすために更に力を籠める)
(腕からひび割れる音が聞こえ、いち早く着いた西洋人形の一体がマネキンの左腕に鉈を叩き入れる)
(マネキンの腕の力が弱まるが、まだあと一押し力が足りないようだった)