(クラスメイトの長井 悠馬が亡くなった)
(昨日まで笑いあった人間が突然いなくなる)
(如月真央の人生においては初めてのことだった)
(長井悠馬の遺体は、まるで獣にでも襲われたかのような有様だったとか)
(繁華街の路地裏で、無造作に打ち棄てられていたとか)

(彼とは他のクラスメイトも含み友人として付き合っていた)
(ついこの間、年上の恋人ができたと自慢していた)
(うっそだーと茶化すと、スマホに写った画像を突き付けてきた)
(セミロング程度の黒髪と、カラーコンタクトでもしたのか赤い瞳)
(真央が記憶している範囲では、そんな容姿をした女性だ)

(××学園の大学敷地前の門で、如月真央は立ち尽くしていた)
(真央には、疑問があった)
(だからその女性と会いたかった。名前は知らないから、只管ここで待つしかなかった)
(徒労だと理解している。けれど、それで引き下がれるほど真央は頭がよくない)
(三日目。とうとうその女性らしき人を発見した)

すみませーん、ちょっといいですか。
(バタバタと駆け寄る。灰色の瞳がその女性を見つめる)


【それではよろしくお願いします】