(とろりと蕩ける官能的な芳香が部屋を満たしている)
(お香を焚いているのだが、明らかに非合法な代物であろう)
(照明は落とされ、カーテンは閉め切られている)
(並べられた蝋燭だけが光源だ)
(両腕を万歳するようにベルトと鎖で拘束された渡辺総司には、きっと見えただろう)
(幻想的な灯りに照らし出された、黒いビキニに包まれた霧原朱音の肉感的な肢体を)

こんな代物を買い漁ってたとはね。
とんだド変態だ。Sならともかく、Mとは。実に度し難いよ。
(いつもの笑みを浮かべながら、透明な液体をとろりとろりと垂らしてゆく)
(総司の衣服は既に脱がされており、トランクス一枚の情けない姿を晒している)
(その胸板に、ローションを弄るように垂らしているのだ)

退屈しのぎくらいにはなりそうだから、付き合ってあげるよ。
精々、いい声で鳴いてくれよ。豚みたいにね。
(つー。指でローションを引き延ばす)
(ぬちゃっとした粘度の高い感触をゆるゆると伸ばして塗り付ける)

【さて、出だしはこんなもので】
【よろしく頼むよ】