(渾身の力をもってして振り抜かれた一撃で両断された異形の体が地に落ちる)
(疾さか纏った熱か、恐らくその両方をもってして穢れた血を寄せ付けず白銀を保った剣を閃かせ振りかえる)
……!
(羽根が降りてきた。)
(ひとつ、ふたつとそれは増えていきその持ち主と思われるカラスが舞い降りてきた。)
(その中にひとつ大きな、白いカラスがいると確認すればそれはそう見えたことが錯覚かと思えるほど自然にヒトの姿をとって)

………っっ
(白く儚い容姿の少女が哀しみに慟哭する。)
(それが半分視界を遮る前髪の間から見え、同年代の少女達に比べ、豊かな胸をかい、抱く。)
(誰かにそんな顔をさせたくないから今なお握られた剣を執った筈なのに、何でもないことが当たり前にやってくる日常を守りたかったのに)

……ちがい、ます
(だから少女の弱々しい問いに対して小さく首を横に振った。)
私、は……ただその子みたいな子をこれ以上増やしたくなかった、だけ……で
だから、その、私は……その子の為にはなにも、できませんでした
(そう言って胸元を抱く腕に力を込めれば、制服に皺が刻まれて)
(前髪に隠れた眼を悼む様に伏せるのだった)

【こちらこそよろしくお願いします。】
【質問等、あればさせてもらいますね】