(ミズチらからしたら乱入者である大学生は予想どおり驚いている)
(ミズチも逆の立場なら、心霊スポットでの撮影で地縛霊に野球拳を挑まれたら驚く)
(その場合、マイナーアイドルとしての公式活動では健全路線なので、断ってそのまま除霊だ)
(なので大学生も断ると思っていたのだが、その予想は外れた)
あら、あらあらら……そんなに私の全裸がみたいの?
見た目とは違って、エロにどん欲なのね。
(これは挑発。大学生の顔にエロ方向の下心はみえない)
(何か勝算があって野球拳を言い出したのではないので、勝つための精神攻撃だ)
(宴会的にはどちらが勝っても負けても蛇たち、そして蛇神様は楽しんでくれるが、どうせやるなら勝ちたいものだから)
ええと、やくもこはく、さんだっけ?
琥珀さんって呼ばせてもらうわ、きれいな名前だし。
私は、乙姫ちゃんよ。
もっと知りたかったら、野球拳で私に勝つことね。
(足下に瓢箪と大盃を置き、一歩、うしろへと下がると、両手を開いて上へ向ける。満開の八重桜の方へ)
(枯れていたはずの古い八重桜は若々しさを取り戻して、すべての枝にこぼれ落ちそうな程の八重の花びらを咲き誇らせている)
(月明かりはさっきと変わらないはずなのに、もっと艶やかに、もっと華々しく、もっと美しく)
(日本名桜100本に選ばれてもおかしくないくらいの、見事な満開の八重桜)
(その桜を背に、ミズチは勝負の開始を宣言する)
最初はグー、じゃんけん、ポイッ!
(ミズチの出した手はパー)
(そして、やっていることは、単なる宴会芸だった)
【真面目にどちらかが全裸になるまでやったら何時間かかるかわからないので、】
【2回目以降は飛ばしていいよね?】
【で、勝負の最終結果は、琥珀さんに希望がなければミズチの負けにしたいのだけど?】
【最初のジャンケンの結果と、琥珀さんがどこまで脱がされるかは琥珀さん次第で】