>>128
はい…………んぅ。
(呼びかけに応えて振り向けば、空かさず肩に手を置かれて何が起きたのか考える間もなく)
(ファーストキスの唇を奪われれば、潤んだ瞳に涙が浮かぶけれど嫌な気はせず)
(ゆっくりと目を瞑って受け入れるけれど、唇は軽く触れ合った程度に近く)
(離れて行ったのを寂しく感じて頬を紅潮させて目を開けば、少年のように顔を紅く染めた痴漢の顔に)
(あれほど大胆なことをしていながら、キスで顔を赤めているギャップがどこか母性を擽って微笑みを浮かべて見つめてしまう)
(電車が学校の最寄り駅に到着して止まり、扉が開いて降りるように促されて)
(まだ絶頂の余韻に身体に力が入り切らなくて、よろめいたまま動き出す)
あの……今度の大会も絶対見に来てください。私、頑張りますから。
(降り際にもう一度振り向いて手を軽く握って、名残惜しそうに他の乗客に押し出されるままにホームへと降り立ち)
(電車の扉が閉まり動き出しホームから離れて見えなくなるまで、切ない表情のまま電車を見送った)

(前回、精液を身につけたまま学校へ行ってクラスメイトに気づかれそうになったので)
(今回は痴漢の人には悪いと思いつつも駅の化粧室でスカートに付着した濃厚な精液を拭い)
(臭い消しスプレーで精液の匂いを薄めて、拭った精液を吸い取ったティッシュは匂いが漏れない袋に入れてそのまま持ち帰る)
(さすがに学校で絶頂の快感を思い出しても、化粧室で自慰に耽る訳にも行かなくて)
(何度がさりげなく指で唇をなぞっては、一瞬だけ恍惚とした雌の表情を浮かべていた)
(だけど、このまま痴漢され続けたら自分はどうなってしまうのだろうとの不安と)
(それでももっと気持ちよくなりたいとの根源的な欲求の間で、その日は授業に集中できないまま下校まで過ごした)
(家に帰り着き、母親が出掛けているのを知ると、自室へ向かって鍵を掛けて)
(精液が染み込んだティッシュを嗅ぎながら、膣に中指と薬指を潜らせ)
(親指でクリトリスを弄りながら、もう一方の手で痴漢の人の手の動きを思い出しながら乳首を凄いて)
(身体が疲れて満足するまで、夏服のセーラー服に身を包んだまま自慰を続けたのだった)

あの、これ今度の大会の一般観客席のチケットです。
絶対に見に来てくださいね。約束ですから……それじゃ、後輩が来るので……。
(インターハイ出場を掛けた大会が迫ってきて、放課後の部活の他に朝練やいつもなら部活のない日にも練習が入って)
(約束の場所に行けない日が何日も続いて、それでも最近はいつも一緒の新体操部の後輩がホームに現れる前に大会のチケットを痴漢の人に手渡す)
(本当は生徒や保護者、学校関係者が集う応援席で見て欲しかったものの)
(大会参加選手の親には若い男性一人観客は目立つ気がして、痴漢の人には一般観客席のチケットを渡すことを選ぶ
(名残惜しそうに一度振り向いてから、後輩の姿を見つけると、何事もなかったように合流して女性専用車両で学校へ向かった)

「理絵ちゃん、最近急に大人びて綺麗になってすごくエロくなったよな」
「俺、理絵ちゃんと付き合えてセックスできたら、絶対大学受験も頑張れるのにな」
「付き合うなんて贅沢言わないから、理絵ちゃんの汗が染み込んだレオタード欲しい」
「それ変態すぎるだろう」
(大会当日、明らかに高校生の集団のエッチな妄想や囁きが、近くにいた痴漢まで微かに届く)
(そのグループだけでなく、一般観客席にはあまり新体操には興味なさそうな若い男性の姿がアチラコチラに見て取れた)
(大会が始まると理絵は最終種目のボールを残して僅差で首位に立ち、インターハイ出場さえ現実味を帯び始めていた)
「全く何をしているのやら、あんなに難度の高い技さすがに今のあの子じゃ無理よ。どこまでお嬢さん育ちなのかしら」
(少し離れた所には理絵の才能を見込んでいた、大学生になった日本代表候補の宮本選手も見に来ていて)
(ボールの演技で大技を繰り出そうとして大失敗をした理絵の姿が視線の先にあり、呆れたように言い捨てると)
(そのまま席を立ち結果を見ることもなく会場を後にしていった)
(大技の失敗が響いた理絵は首位から滑り落ち、最近一緒にいる後輩にも抜かれて)
(結果として入賞もインターハイへの出場は逃したものの、ボールの演技を終了したときに)
(自分の頭を軽く叩きペロッと小さく出した理絵の愛らしさは、観客に却って強い印象を焼き付けていた)