『次は誰にしようか』

痴漢が集まるSNSに投稿されたあるメッセージ。
次はという言葉の通り、数日前まで一人の女子生徒がターゲットになっていた。
複数の実行担当が接触を試みて、こちらも複数の鑑賞担当が撮影などを行う連携プレー。
ログを辿れば女子生徒が電車内で快感に堪える姿がいくつも画像としてアップされている。
ターゲットが解除されたのは、実行犯の一人が関係を築き、キープに成功したから。
こういう事はいつもあり、大抵その頃には鑑賞担当が新しい獲物を求め出す為、潔く切り替えていた。
今回も新しい獲物を誰にするかターゲット選びが始まり、次の投稿ですぐに決まった。

『この子どうよ。この間大会で見かけたんだけど、こっちが通学時ね』
『えっっろ。いいじゃん、この子にしよう』
『〇〇線の〇〇駅? 今回は参加できそう』
『でも乗ってるの専用じゃね。どうすんの』
『友達っぽい子が一般に乗るんだよね。そっち狙えば出てくるかも』
『あー、俺こっちがタイプ。俺やるわ』
『じゃあそれで決まりな。カメラ用意しとくから実行グループよろ』
『撮影よろ』

流れるようにターゲットとそれを確保する為の作戦が決まる。
スマホで見ていた男はSNSを閉じると、さっき保存した二枚の画像をアルバムから開いた。
お嬢さんが通うと評判の女子校の制服に身を包んだ姿を見て、それから新体操をするレオタード姿を。
競技用と分かっていても、下卑た者の目からすれば身体のラインを浮き上がらせる姿にしか見えない。
二枚の写真を交互に見ながら硬く膨らむのを感じ、そのまま扱きたくなる気持ちを抑え、今は溜め込んで接触できる日を待つ。

それから数日後、作戦通りにターゲットの親友への痴漢が実行され、その報告がSNSに上がる。
加えてターゲットの女子生徒の名前についても把握したとの報告が投稿された。
そして痴漢グループの狙い通りに、ターゲットが駅のホームに姿を現した。
専用車両に乗るのとは違う場所にやって来たその姿を、男はホームのベンチでしっかりと見ていた。
被害に遭った友達の付き添いとして乗ることにしたのだろうが、しかし友達の姿はない。
遅れているのだろうか、それとも痴漢が怖くてやはり登校をやめると決めたのか。
後者だとすれば専用車両に戻るかも知れないが、とにかく今は近付きたい。
反対側の番線に電車が近付くアナウンスに反応した形で席を立ち、ターゲット──理絵の後ろにゆっくり歩み寄る。
スマホを見ている為に警戒心の薄そうな後ろ姿を眺め、あの二枚の写真を思い返す。
スーツの内側でまた熱くなりそうなのを今は押さえ付けて、体は冷静に、しかし気持ちは熱く抱く。

友達がやって来たから、もしくは遅れるから、どちらにせよ理絵が電車に乗ろうとすれば。
その後ろに近過ぎず離れ過ぎず、慣れた距離の取り方でポジションを取りながら、付いて行こうとする。
混雑した車両であろうと苦にせず理絵の後ろという絶好の場所だけは確保し、この機会を逃すまいとする。

>>29
【顔を合わせるタイミングでもう少し詳しい描写は入れるようにする】
【それじゃこちらから、こんな感じで用意させてもらったよ】
【問題無ければよろしくね】