>>42
っ!!
(スクールバッグを身体の前へと引き戻した時点で予測は出来ていた)
(でも、こうも大胆にコートの裾を持ち上げられて、スカートに指を触れさせてくるとは予想以上だった)
(驚きのあまり強く息を吸い込むと、喉の奥が鳴り声ともつかない音になって漏れる)
(昨日や先ほどみたいな擽ったさに負けないと、眉を寄せ軽く唇を噛み口を真一文字に結び済ました表情を取り繕う)
(しかし、許可を得たかのように痴漢の指が掌が、お尻を右から左へと好き勝手に撫で回してくると)
(嫌悪感と怒りが沸き上がり奥歯をギュッと噛み締めて、バッグをギュッと握り締める)
(何をされるかは分かっているし、昨日みたいな不意打ちじゃないから、翻弄されないし絶対に負けない)
(そんな決意をしていても、痴漢の中指がお尻の谷間に沈み込みゆっくりと上から下へと向かえば)
(より強い嫌悪感と昨日と同じ何かは分からないけれど、ゾクッと震える感覚が背筋を走る)
(思わず弱気な表情が浮かび、変な声が出そうになるけれど、ぐっと我慢して何食わぬ顔をして声が出そうになるのも飲み込み堪える)
(痴漢の指がお尻のカーブに沿って下へと進み、さらに奥へと突くように押し込もうとすれば)
(内腿に力を込めてその先への侵入を防ぐようにするが、股の下を擦られると何か分からない感覚は徐々に強く背筋を震わせていた)
(性的刺激を与えられた敏感な身体が目覚め、つぼみが大輪の花を咲かすように)
(ゆっくりと綻び始めていることに、理絵自身はまだ全く気づいておらず)
(背筋の擽ったいような不思議な感覚に、俯きじっと堪えて時を待つ)
[もう少しだけ我慢して、今度は反撃に出る……。
 一人で立ち向かうのが無理なら、少し大きな動きをして周りの人に気づいてもらえばいい]
(周りをすべて痴漢に取り囲まれているとは全く想定しておらず、大きな動きをすれば周りの乗客が気づいてくれると信じていた)

(背筋を震わす妖しい感覚に堪えて、抵抗のタイミングを計って集中していて)
(自分の足元に隣の男性の足先が伸びてきて、スカートの中を撮影し)
(ピンクのブーケ柄がプリントされ、正面のゴムの部分に小さなリボンが飾られたノーマルライズのコットンショーツが)
(写真に撮られたことに気づく余裕は全くなく、痴漢の考えに気づくはずも無い)
[なんだか身体が熱い……どうして。嫌なのに……。
 もうこれ以上我慢するのは無理。反撃するなら今しかないんだから]
(昨日のように相手の手を掴むためではなく、大きな動きでスカートについた誇りを払うようなつもりで右手を大きく左右に振った刹那)
はうっ!! んっ……あっ……。
(痴漢の中指が股下の奥から上へ向けて強くなぞるように動けば、電気が走ったように背筋がピクンと震えて)
(堪え切れずに昨日と同じように鼻に掛かった声が漏れる)
(だけど、昨日と一つだけ大きく異なるのは、自分が気づいてないだけで)
(身体が快感を覚えて甘い響きが僅かに混じっていたことであり)
(手練れの痴漢であれば、理絵の声の意味に本人以上に早く気づいているに違いなかった)
[今の感じなに? 擽ったいような……痺れるような……。
 誰か気づいて早く!]
……んひゃっ……んぅ……はっ……。
(何度か抵抗を試みる毎に痴漢の手は的確に強い刺激を与えてきて、バッグを肘に掛け左手で口を塞ぐけれど)
(完全には声を抑え切れず、僅かな甘い響きを含み始めた声が漏れてしまう)
(周りが早く気づいてくれることを願っていたが、声を聴いても周りの乗客はすべて痴漢の仲間で)
(誰一人、理絵の思惑通りの反応を―痴漢されていることに気づき、痴漢の手を押さえてくれる動き―してくれる者はいない)
[誰か早く……お願い……気づいて]
(まだ認識はしていないものの、背筋を駆け上る甘い痺れに翻弄されながら)
(理絵の身体はほんのりと火照り、薄っすらとかいた汗が匂い立ち始めていた)

……くぅ……っ……ぁ……。
(そのころほぼ無抵抗の優花里は、スカートの中に手を入れた痴漢の指にショーツのクロッチの部分を何度もなぞられて)
(とうとう微かに愛液で濡らしながら、背筋を小さく痙攣させうなじを紅く染め襲い来る快感に)
(恐怖と快楽の混じる小さな吐息を漏らしてしまっていた)