>>55-56
(ホームで電車を待っている間も、自分の周囲をそれとなく観察してみる)
(おそらく嘲笑うかのような笑みを浮かべていた男性が痴漢なのだろうが、太い眉だったことは覚えているけれど)
(涙のせいではっきりと覚えるまでは至っていなくて、眉の太い若い感じのサラリーマンを見ただけでもしかしたらと思ってしまう)
[いけない、いけない。あんまり焦っちゃ駄目。
 もし間違えたら、間違えられた人にもいっぱい迷惑を掛けちゃうから]
(痴漢は憎い。でも、たまにニュースで見る痴漢に間違えられた人たりのことを考えると)
(決して間違えて突き出すことは出来ないとも思う)
(だからこそ、痴漢している手にスタンガンを押し当てれば、相手だって声を上げるはず)
(そうしたら周りの人に防犯ベルで教えて逃がさない。計画は完ぺきに思えていた)

[来た!! この手の感じ、絶対に同じ痴漢に違いない。
 でも、焦っては駄目。少しだけ油断させてから……]
(キュッと内腿に力を入れて前に手を回されないようにガードして……)
(やはり、触られると気持ち悪い。それに、背筋がゾクゾクして悪寒を感じる)
…………っ…………。
(中指がお尻の谷間に沈み込んで上下になぞられると、身体が恥ずかしさにカーッと熱くなって)
(背筋のゾクゾクも強くなった感じがして、思わず声が漏れそうになるけど)
(キュッと唇に力を入れて、自分でも疑ってしまうくらいの変な声が漏れるのを堪える)
(左側にいた男性がカーブでよろけて近寄って来たけれど大丈夫、だって左は防犯ベルが入ったポケットにさえ手が届けば良いだけ)
(なんとかモゾモゾと左手を動かしベルを握って前へと戻して、もし隣にいる人たちも痴漢の仲間だったことを考えて)
(今のうちに右手にスタンガンを手にして準備をしておく)
……ヒュッ。
(電車が大きく右カーブを抜けてすぐに、スカートが捲られて手が入ってくるのを感じる)
(声を出さないようにって決意をしたはずなのに、堪え切れずに喉が鳴ったような声ともつかない声が漏れる)
[嫌なのに、気持ち悪いのに……、それにショーツの上をレギンスとタイツでガードしたはずなのに……。
 前より背筋がゾクゾクするの強い]
(お尻を撫でられただけで、背筋をせり上がる感覚が前の二回より鋭く強いことに気づく)
(レギンスでキュッと抑えたせいで形が分かりやすくなり、新体操で鍛えているお陰で)
(同年代の子より筋肉質で柔らかさに欠ける分、プリンと弾力の強い張りを痴漢の掌に伝えてしまう)
……んぅ……ん……。
(お尻の谷間に指を這わされて擦られるのは想定内なので、何とか声が漏れないように我慢するけれど)
(お尻の膨らみの方を擽れれるのは想像していなくて、擽ったいだけなのか)
(それとも違う何かなのか分からないけれど、背筋がゾクッと震えて我慢しきれずにとうとう声が漏れる)
[無いとは思うけど、この前みたいに訳が分からなくなって、変な気持ちにならないうちに決着をつけないと……]
(敏感すぎる身体の反応に焦って、ちょうど左カーブに差し掛かる少し前)
(ギュッとスタンガンを握った手を後ろで回して、お尻の谷間を擦る痴漢の手首にスタンガンが触れた刹那)
(電車がカーブに入って、いつもより進入スピードが速かったのか、他の乗客の声が聞こえるほど車内が大きく揺れて)
(スタンガンのスイッチを押したときには、放電する先端の部分は痴漢の手首からずれてしまっていて)
[嘘、タイミングは完ぺきなはずだったのに……]
(理絵自身の身体も大きく揺れてよろめいて完全にバランスを崩してしまっていた)

【NGの件ですけど、どうやら文字の一部がNGに掛かっているみたいで】
【なのでストッ〇キングって一つ文字を入れれば引っ掛からずにすみますね】
【あと、バランスを崩した私を助けるふりをして鑑賞担当の人がブザーを奪ったり】
【さりげなく叩き落とすような動きを見せるかどうかなどの選択はお任せしますね】