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キープを宣言した後の三日間、理絵があのドアの位置に乗ってくることはなかったが、焦りはしない。
朝練中なのは承知していたし大会が終わるまでは我慢することも計算の内である。
今日も無ければ大会後になるだろうかと思っていたその日の朝、理絵の姿があの位置に現れるのを見て軽く笑みが零れる。
再度捕まえに来たという発想はまるで無く、我慢出来ずにやって来たのだと自信を持って想像することが出来た。
だから近付く足取りも揺るぎなく、堂々としていたのだが、それ故に隙もあったのかも知れない。
男より先に理絵の背後に張り付く人の姿が目に映り、思わず愕然とした気分にさせられた。
キープ宣言の後は他の痴漢が来るはず無いと信じ込んでいたのだから、これは完全に予想外の出来事。
無論、キープをすれば触れないというのは紳士協定に過ぎないので、破る人間がいてもおかしくは無いのだが。
だが、そうすると鑑賞担当によるサポートを受けられなくなり、むしろ睨まれるようになるのだから失う物の方が大きい。
そこまでして理絵に触りたいのか──その気持ちは十二分に分かるが、男の脳裏に浮かんだのはあの書き込みだった。
IDをよく確かめなかったが、まさか先日の書き込みは別人で、狙っていた人物は別にいたのか。
瞬時に頭の中でそれらが結び付くが、今更気付いてももう遅く、到着した電車の中に乗り込む理絵と背後に付く人物の背中が見えた。
慌てて同じ電車に乗り込むが、人の流れを強引に押し退けることは出来ず、理絵の姿を見ることはできるが離れた位置に。
様子を確認できることは幸いであったのか……いや、どちらかと言えば不幸に近いだろう。
自分の物に出来たと思い込んでいた理絵が別の男に触られる様子を目にすることになるのだから。

理絵の背後に張り付いたのはこれまでの男よりも若く、大学生くらいの男性だった。
髪は明るい茶色に軽く染めており、ショルダーバッグを肩に掛けたラフな私服姿。
ようやく理絵に触れる機会を得た喜びからか、電車に乗り込んだ後、軽く舌舐めずりをしてから右手を伸ばす。
スカートへの接触はまず手のひらを押し付けて全体を撫で回し、それから更に指を押し付け揉んでいく手付きに。
更に左手を加えて左右それぞれの手で理絵のお尻を揉み、初めて触れる女の柔らかさを堪能していく。
大学生が触れるのは初めてであるが、理絵の方はそうで無いことを知っているからか、大胆な手の動かし方で、スカートの中への侵入も早い。
指先が細かいレースの装飾が付いたショーツに触れると、大学生が反射的ににやけた様な表情を見せる。
理絵がすっかり堕ちたことを知っており、この下着も男向けと気付いて、それを横取りしている優越感を味わっているのだろう。
左手でショーツ越しのお尻を撫で回し、膨らみの感触や形を堪能しながら、右手で素早くズボンの前を開いておく。
そして取り出した肉棒をスカートの内側へと入れて、理絵のショーツへと力強く擦り付ける。
初めての接触とは思えない程の速攻かつ大胆極まりない行動は、今回だけで理絵を奪うつもりだからだった。
何回もかけて女としての悦びを目覚めさせられた理絵に、男としての強引なアピールを見せ付けて、こちらが上だと教える。
そんな大学生のペニスは、自信を持っているだけあり大き目ではあるが、前回理絵に押し付けられた物と比較するなら小さかった。
違いは単純な大きさだけでなく、大学生の行動は理絵を気持ちよくするよりも、自分の欲求を満たす目的の方が強い。
肉棒を押し付けた後は腰を振って理絵のお尻に何度も擦り付け、滲み出た先走りの粘液を塗り込みながら自分の快感を募らせていく。

そんな光景を離れた位置から見る男の方は、唇を噛み締めて、それによって血が出そうな程であった。
理絵に触れるだけでも腹が立つのに、更に猿のように腰を振る姿は自分のことを棚に上げるようだが憎らしい。
何としても大学生を引き剥がしたかったし、その自分本位な痴漢行為から理絵を守りたいという思いも芽生えていた。
狙いは次の駅、到着時の人の流れに乗じて近付くつもりだった。

【ではこんな感じで別の痴漢登場ということで】
【差別化ということもあってかなり強引にしたけど、抵抗はしていいからね】
【勿論、こんな痴漢に対しても感じてしまうとかでも……その場合、男は大分悔しがることになるけど】
【正面から触るということは表情も見るということだからね、驚いたりするのもむしろ見たいくらいだよ】