(サラが扉を見るのとほぼ同時に鍵が開く音がした)
(やはりあの文字に従う事が、部屋から出る鍵になるようだ)
(さっきのように僅かに開いた扉から廊下に出る)
(そして歩きはじめたサラは、さほど行かないうちに再び浮遊感に包まれた)
うっ…
(さすがに3回目になると大きな驚きはなく、慣れない浮遊感に小さく呻くだけだ)
(そして半ば予想していたが、サラはまた似たような部屋に閉じ込められていた)
(サラは周囲を見回して扉を見つけるとその上を見る)
(そして、そこに示された文字を読んだサラの表情が歪んだ)
…うう…
(口から漏れる呻きは、指示の内容に対してなのか、それともそれに抗う術のない自分に対してなのか)
…はっ!?
(文字から視線を部屋内に戻した瞬間、サラはこれまでと違う異常に気付いた)
(広さも壁の材質も前の部屋と変わらない筈なのに、何かが違う)
だ…だれ、か…いる…!?
(これまではただの無機質な部屋だったのに、ここには何となくだが人の気配を感じた)
(冒険者の経験が浅いサラだが、ぼんやりと視線のような気配があるのが分かる)
あ、う…!
(怯えた表情で壁に背中を付ける)
(正体のない視線が怖くて、そしてその視線の前で文字の通りに従うのが嫌で)
も、もうっ…もういいでしょう!?
こんなことして…恥ずかしくないんですか!
(まとわりつくような視線に向けて叫んでみるが、今まで通り反応はない)
…う…わっ…分かり…ました…!
(振り絞るような声で話すと、サラは上半身の革の服を脱いだ)
(戦士らしからぬ白い肌と、成長途上の胸を包む白い下着が露わになる)
…あ、あのっ…上…上だけで勘弁してください!
下は…そのっ…下は…恥ずかしい、です…!
(まとわりつく視線により、羞恥で頬を染めたサラが見つめてくる誰かに話す)
【はい、では知識だけはあるという事にしておきますね】