>>540
(サラの声を聞いたジンが背中から降ろしてくれた)
(そして扉の指示を読んでから、サラに困ったような顔で話してくる)
わ…わか、分からない、です…
(まだ呆然とした声のサラに、ジンが話を続ける)
え…あ、いえ…あのっ…
(まさか諦めてもいいと言われると思わなかった為、サラは焦ったように口ごもる)
(ジンの言う通り、諦めたらそれは壁に潰されての死に繋がる)
あ、あ…あの、わた、私、あのっ…
(頭の中が混乱し、自分が何を選択すればいいのかまとまらない)
(そんなサラの耳に、ジンの言う家族という言葉が聴こえた)
…か…ぞく…
(サラにはもういないが、ジンには故郷に家族がいるのだ)
(自分が諦めたら、ジンの帰りを待つ家族が悲しみに包まれる)
(そう、父と母を失った時のサラ自身のように)

(悩むサラの背後で、まるで決断を促すように壁が軋みはじめる)
はひっ…あ、わっ…私…!
(それが引き金になったのか、サラは絞りだすような声で話す)
し…します…扉に書いてある事…します…!
(焦りと混乱と悲哀が合わさったような表情でジンに伝える)
(正直に言えば、嫌で嫌でたまらない)
(でもやはり死にたくないし、自分にまきこんでジンを死なせたくない)
…だ…だいじょ、大丈夫…できる…
(自分に言い聞かせるように呟きながら、ジンの前に立つサラ)
わ、私は…できますから…ジ、ジンさん…お願い、します…
(少し潤んだ瞳でジンを見つめ、サラは心配ないというように頷く)

【お待たせしました】
【23時くらいまでですが、よろしくお願いします】