ふへへ、なかなか威勢がいいなぁ
(ナメクジ妖魔はそのように笑った。事実、肇の言うとおり脱出できれば遅れはとらない)
(だが、それも脱出できればの話だ)
じゃあ、ゆっくり邪魔してあげようか。お前がきっと気持ちよくなってそこにずっといることを望むだろうしなぁ
(彼女にとっての世迷い事をナメクジは言うと、その軟体が彼女を撫で始めた)

(気色悪い感触とナメクジ特有の粘液まみれの軟体の感触が彼女の体を撫でる)
(本来ならば気持ち悪いで済むはずの行為だった)
(だが、その陰で何かが体中に吸い付く感触があった)
ふへ、ふへへへへへ
(ぴったりフィットしたレオタードの裏地や羽織に包まれて見えていない肌にぬるりという感触がどんどん大きくなっていく)
(まるでくすぐっているかのようにその感触は大きくなっていった)

どうしたぁ?
(そして、体の方にも変化が訪れる)
(霊力を解放していたはずなのに、どんどんその力が抜けていく)
(まるで湧き出てくる力が吸われ、その分を快感に置き換えているように)
おいおい、さっきからどんどん弱くなっているぞぉ?
(その感触の正体が分からないが思い当たる節はあった)
(敗北をきしたスライムと同じ感触だ。それが体中に広がっていくかのようで)