(美優の太刀筋を知った上で、なおも間合いを外すことがなかった魔族の体を縦横無尽に光が切り裂く)
(その剣技の余波により、二人の体が隠れるほどの砂埃が舞い上がり、奥義の余波で周囲の魔物が消し飛んでいく)
(全ての力を使った美優が息をつき、刃から白光が消え去った瞬間…)
(美優の目の前には止まることなく迫る掌が…動けない美優の頭を掴んでいた)
見事な物ですね…奥義だったんでしょうか?それとも砂埃を起こして目隠しでしたか?
私の一張羅と使えない部下を台無しにしてくれた以外は大した効果はないようですが…
(砂埃が収まると、そこには白いスーツと共に人の顔を失った魔族が平然と立っていた)
(美優の頭を掴む手も、剥き出しの肌も、全てが黒い肌に変わり魔族本来の姿を現していた)
奥義が効かなくて不思議ですか?私はね…昔貴女の一族に不覚を取りましてね
それ以来、貴女の一族を滅ぼすことを生き甲斐にしてきたんですよ
だから光の術なんて嫌というほど見てきましたし、その対応も終わっているんです
私の体には貴女の一族から奪った光の力が宿っていますからね
だからこんなこともできるんですよ
(魔族に宿った光の力は美優の剣が肌に当たった瞬間、その光を奪い、剣は魔族の肌に弾かれていた)
(奪われた光は魔族の瘴気によって歪められ、美優の頭を掴む掌から持ち主へと返されていく)
(瘴気に汚された光はもはや、美優を守るものではなく、その内側から彼女を汚していく)