(ここ数週間の間に、街から数人の若い女性が行方不明になるといった事件が相次いでいた)
(現場には争った形跡はなく、加えて監視カメラ等にもこれといって怪しい人物像が見つからない。まるで神隠しにあったかの様で
警察は捜査に行き詰っていた。その一方で響子は現場に残る微かなまでの魔物特有の気配を察知していて)

……ここですね。
(時刻は夜遅く。響子は聖天使セイクリッドティアに変身していた。髪はいつもの栗色から蒼に変わり、年頃の私服は魔物を滅するための
コスチュームへと変わっていて。純白のグローブにブーツ、レオタード調のコスチュームに胸プレート。手には聖剣を携えていて)
(魔物の残滓を追っていけば街はずれの廃墟群の中にソレはあった。巧妙にカムフラージュされた入口。辺りには人気はなく。)
(それにも関わらず、入口を潜ればなぜか電気がついた通路。それはどこまでも続いていて)
(意を決してカツカツ…と足音を鳴らし、周囲に気を配りながらただ直線の通路を数分進んでいけば突如開けた空間に出る)

ここは……………?
(見渡す限り、ただ広いだけのドーム状の部屋。奥には更に通路がある。そしてその先から魔物の気配が続いていて)
(セイクリッドティアは慎重に足を進めるが、中ほどまでたどり着けば突如自身が入って来た場所と、奥に続く通路が塞がれてしまう)
なっ………!?罠…!?くっ、こんな隔壁なんて……はあぁぁ!!!!
(閉じ込められたティアは剣をレイピア状に変えて隔壁を穿とうとした。変身した事で常人以上に身体能力が向上しており、その威力は普通の壁なら
砕く程度にはある。しかしながら隔壁に一切の傷はつかず、程なくすれば足元にガスが充満し始めて)
(吸ってはいけないと口元を覆うがガスは勢いよく吐き出され、室内に充満する…)
―くっ……息が…………ー
(当然呼吸を塞がれ、結果としてガスを目一杯吸い込んでしまう。そして、程なくすれば視界が霞み、意識が朦朧としはじめ、その場に倒れこんでしまう)

【お待たせしました。このような形で如何でしょうか】