(村の入り口で和は軽く伸びをして周囲を見渡す)
(淡い青のニットに白いワイシャツ、ジーンズというラフな格好、肩にかけたボストンバッグには曰く遠いところから持ち寄った土産物が多く詰め込まれている)
さて、まずは家に帰って仕事の準備でもしようかな……っと
(長く村に住んでいる者であれば彼女がこの村の村民であると判別はつくが、長身でどことなく西洋寄りの雰囲気を帯びた容姿は古き日本の風景をもつこの村には異質な印象を与え、初めて見る人には旅行者や観光で訪れた人と勘違いされやすかった)
(それに対し和は怪訝な表情をするでもなく笑顔で挨拶し、商いを行う)
(和の持ち寄る土産物は村の雰囲気を壊さない程度にかつ、新鮮味のあるものを選び、価格もこの村に合わせた比較的良心的な値段で取引をしていく)
それで、この乾物がね……?
(ゆらゆらと自宅の方向へと歩きながらも道中ですれ違う村人に商品の説明をし、まるで旅行から帰ってきた身内であるかのように打ち解けて売買を行う)
(家に到着するころには商品のうちの約半分程度が売れ、それでもまだ重量感のあるバッグを家の玄関口に下ろす)
ここも結構離れてたからあとで掃除もしておかないといけないなぁ
(不用心にも鍵をかけていない自宅には必要最低限の家具しか置いておらず、それらには薄く埃が積もっていた)
(荷物の整理を適当に済ませ、商売人としての準備を整えると再び和は家を出る)
(久しぶりに顔を合わせる村の人々たちにあいさつ回りをしながら相手に見合った土産物を売るのが和の仕事なのだが、彼女は其れで生計を立てているわけでもなく値段も現金ではなく直接物品と交換することも多々あった)
あれは……
(和自身、村の住民全員の名前や顔を覚えているわけではないが仕草や雰囲気などから村に訪れた時期などはおおよそ予測がつく)
(その予測や和自身の記憶に該当しない人物が目に留まり、彼女の興味を引いた)
(儚げな雰囲気を醸し出し、物静かな印象を与える女性……彼女に和は興味を抱いていた)
【一先ず導入と軽く絡みを得られるように書かせていただきました、よろしくお願いします!】