>>614
ハァ……ハァ……あの時の……あれ……ハッ……なんだったんだろう?
(布団の中で蹲っていても、苦戦した理由を考える方向へ思考は向かわず)
(眠気が少しずつ強くなり思考が鈍れば、頭に浮かぶのは抱き着かれた時に全身を駆け抜けた痺れるような感覚だけで)
(それの原因を考えることよりも、あの感覚の記憶だけが頭の中を駆け巡っていた)
(夜も更けて眠りに落ちた彩文は、夢の中で何度も身体の奥底から湧き上がる熱さと)
(触手攻撃を受けた時の淡い疼きと最後の軽い初めての女性としての絶頂を夢の中で何度も思い出していた)

身体が怠い。
やっぱり昨日体力使い過ぎたかな。
(朝目覚めて最初に感じたのが身体の重さで、身体の変な疼きも完全に消えていたことに安堵して)
(学校を休もうかなとも思ったが、気を取り直して学校へ行く用意を整える)
(しかし、女性化の傾向が強まった身体は快感の記憶を宿しているだけではなく、体内に増えた女性ホルモンもそのままで)
(何となく身体が火照るような今まで経験のない気怠さを感じたままだった)

おはよう、紗枝ちゃん。
(流石にサファイアの姿だったので、襲われたことを彩文の姿で聞く訳にも行かず)
(何事もなかったように本を読んでいる紗枝に薄く笑いかけて、自分の席へ着くといつもより大人しくしていたが)
(いつも通りに男子や女子が集まってきて、朝礼のベルが鳴る直前に淫紋を刻まれた少女が最後まで残って)
「彩くん、今日の放課後ちょっと付き合ってくれる?
 講堂の裏で待ってるから」
(二人にしか聞こえない小声で言ったものの、サリヴァーンである紗枝の耳にもはっきりと聞こえていた)

「彩くん。彩くんは気づいていないかもしれないけど、私、彩くんのこと好き。
 付き合ってください、お願いします」
(少女はその年齢特有のはにかみを見せながらも意を決して告白をして、熱い眼差しで彩文の返事を待っていて)
梨奈ちゃん、僕…………良いよ。僕も好きだから、嬉しいな。
(彩文は友達としての好意はあったが、付き合うことまでは全く考えていなくて)
(断ろうかと思った瞬間、梨奈に刻まれた淫紋と彩文の手首に刻まれた淫紋が惹き合うように淡い光を放って)
(何故か自分でも意外な答えを当たり前のようにして、それを自分も受け入れてしまっていた)
「彩くん、嬉しい。ありがとう、これからよろしくね」
あっ、梨奈ちゃん……ちょっと……ンゥ……。
(OKの返事をもらった少女はそのまま彩文へと抱き着いて、彩文を躱せず抱きしめる形になるが)
(昨日の絶頂を迎えた時の快感の記憶が蘇り、乳首の先に甘い痺れが一瞬走って甘い吐息を漏らしていた)