……みたいだね。少し気分が悪くてね。
(良く見れば壁の色が男子用よりは明るく華やかな感じで、急に恥ずかしくなって耳まで真っ赤になってしまう)
うん、じゃあそうしよう。
お店が開くのファッションの店だからちょっと遅くて、確か10時半だったから……10時にする? それとも10時15分くらいが良いかな。
(いつもは感情が表に現れ難い紗枝が嬉しそうな笑みを浮かべたのを見て、彩文も嬉しくなって笑みを浮かべて)
(紗枝との話で気がそれていたせいもあるが、自分の身体の変化には全く気付いていなくて)
(見張りの紗枝にお礼を言って戻った体育の授業はゲームが終わり、片付けが始まっており普通に混じって片づけを終えた)
本当に紗枝ちゃんは優しいよね。
もう少し皆とも喋れば、きっと人気者になれるのにね。
僕は全然構わないよ。図書館に誰も来なくて暇よりよっぽど良いから。
(紗枝の心遣いに無防備な笑みを返して、自分に対してと同じように皆と接すればきっと人気が出ると押し付ける出なく、それとなく伝えて)
(今日は嬉しそうな顔を何度も見せる紗枝に、図書館に人が来るのは大歓迎だと伝える)
…………ぁっ、……………………ん。
(放課後に紗枝と合流すると、今日は休んでいるがクラス公認の彼女である梨奈に気を遣い手は繋がず)
(肩が触れ合うか触れ合わないかの微妙な間隔のまま廊下を歩き図書館へ向かって)
(図書館が近づいてくるとYシャツの下に来ているTシャツと擦れる乳首に微かな違和感が生じて一瞬足を止めるが)
(紗枝には何ともないと言って歩き続けて行くが、徐々に強くなる違和感にもしかしてと思って女の子のような小さな声を上げる)
(それでも図書委員の仕事をカウンターで始めたばかりの頃は堪えられる程度で、何とかそつなく仕事をこなしていたが)
(上級生に返却本をフロアーの棚に戻すように頼まれた頃は、また疼きは強くなって来ていて)
……ハァ…………ハァ…………ハァ…………ハァ……
(「また、乳首が擦れて……、それにお腹の奥が熱くて……また変になりそう……」)
(カートに本を載せて運ぶ彩文の吐息には甘い響きを帯び始めて、紗枝の横を気づかずに通過していく)