>>684
……彩くんだから、こんなに話せるんだよ
…………彩くんと一緒にいると……私も……心が落ち着くから…………
(実際紗枝は何よりも彩文以外の人間を取るに足らない餌か駒程度に感じており、梨奈のように稀有な例を除けばどこか見下している節があり実際妖魔を嗾ければ容易に散ってしまう薄弱な存在程度に見なしていた)
それなら……良かった……
(彩文が快諾して放課後、彼と合流した紗枝は二人肩が触れ合うかどうかの距離感で一緒に歩くが、梨奈の存在がある手前手をつなぐことはなく二人で微妙な距離感のまま図書室へと向かう)
……どうしたの?
(紗枝の耳にもかすかに零れた少女のようにか細い小さな声が聞こえ、足を止めた彩文の方を見る)
何ともないなら…………うん…………またさっきみたいなことになったら……言ってね?
(何ともないと言って気丈に振舞う彩文にそう返すと二人は再び図書室へと向かう)

(それから図書室で図書委員としての仕事をしている最中にも砂時計のように徐々に彩文の身体の奥底には劣情と快楽を求める疼きが蓄積されて行き、返却本を棚に戻すために書架を移動していた頃には劣情が滾り甘い響きを持った吐息を零していた)
……
(その彩文の様子を別の本を取りに向かっていた紗枝もすれ違いざまに確認し、横目で確認すると邪悪な笑みを浮かべる)
……ねぇ、彩くん…………
(一度は通り過ぎた彩文を呼び留めるように肩を叩き、声をかける)
………また息が……粗くなってるけど…………大丈夫…………?