喘ぐようになった呼吸を必死で落ち着けさせる
「ストリンガ...駄目だ...私だけみたいだ...」
小さく恋人の名前を呼び、仲間たちと決めていた符牒をサーベルの柄で石壁に打ち付けるが、返す音はない。
(なんなんだ...あのミノタウルスは…筋力があるから早いのはわかる、けどあの身のこなしの速さと小回りの利き方...このダンジョンが手付かずなのはあいつがいるからか?)
そう考えをまとめながら気配遮断のスキルを使って一先ず迷宮の出入り口に向かう。

まずはこの階層から上に戻る階段へ、最後の玄室を抜けた瞬間後ろから衝撃を受けて、身体がしびれたように動けなくなる。
ムッとするような獣臭…衝撃を受けた方に、くらくらする頭で目をやると、あの牛巨人が立っていた。
(うそ…そうか、上位のモンスターには同じスキルを使える奴がいるって聞いていたけど…)
自分の冒険はここまでか…そう思いながら諦観を抱きながら目を閉じた

【こんな感じで、中級冒険者を圧倒する同種のスキル持ちミノタウルスみたいな感じで、捕獲まで突っ走っちゃったけどいいかな?】