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奇襲で混乱した中捕縛したザイルスが討伐隊の一人を捕虜としている。
これは厳然たる事実であった。

まして、討伐隊の内万全の装備をしているものが誰一人としていない。

(しまった…こんなことなら全員を処刑するべきだったんだ)
悔しさに顔をゆがめながら、ザイルスに促されるままに広場に歩いていく。

すがるような視線を恋人のストリンガに向ける。
一瞬ストリンガはひるんだような顔を見せるが、すぐさま村長と何かを話し込む。

「盗賊団の用心棒のザイルスだったか?別段に人質もろとも魔法を叩き込んでもいい…ただ、村長はそれを望んでいない。ついでに言えば、お前が野盗の用心棒で会って、リーダではないから俺たちは重視しない。
だからだ、馬は与えないが、ここからおめおめと逃げるなら、見逃してやるよ。
此方が不意打ちをしない保障に、うちのメンバーを人質にとるならそうしたらいい。」
そう言って、ストリンガが腕を振ると、村の出口方向にいた冒険者たちが道を開く。

どうやら、あくまで自分たちの対面を保つために、村長にとっては村を戦場にしないために、馬は出さないが逃がしてやるという形を築いたのであった。
目ざといザイルスには何人か弓手や弩兵が屋根の上に陣取り始めているのが目に入る。

(うそ、そんなっ…それじゃ、アタシは人身御供じゃないか)
ライアを捕まえているザイルスにはライアの腕が小刻みに震え、顔が青ざめていくのが夜目にもわかった。
(こんな感じでどうかな…あとは担いで村から離れたセーフハウスみたいなところで凌辱で】