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「あ」
目の前でエレベーターの扉が閉まる。
その隙間からちらと見えた顔には(やーい、乗り遅れてやんの)と書いてあった。
「仕方がないな、階段から帰ろう……」
誰に言うでもなく呟きながら、階段に通じるドアを押し開けた。
「ん、んしょ……重い……」
開けたドアから手を離すと、思った以上に大きな音を立てて閉じる。
思わず首をすくめてしまい、誰かに叱られやしないかと耳をそばだてる。
「……誰?
誰か、いるんですか?」
目の前の階段、右は下に降りる方。
左の、屋上に通じる階段の、踊り場の方から物音と、人の声がしたような気がした。
特に考えもなく、興味の赴くままに上り階段に足が向く。何が起きるかも知らずに。
【こんな感じですが、どうでしょう?】