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(きれいな、人だ)
それが、第一印象だった。
階段の向こうから顔を出したその人は、一瞬外人かと思ったが、日本語で話しかけてきた。
「え、あ、雨?
えー、傘持ってきてないよ……」
塾での授業中に外の天気がどうかまで気付かない。
「え?」
上から、何かが落ちてきた。
踊り場の壁に当たって跳ね返り、ぼーっと突っ立っていた自分の横を抜け、重い鉄のドアに当たって止まった。
言われるがままに拾い上げる。
ピンクのプラスチック製のそれを手に、階段の上へと。
「スイッチって、こう、かな……!?」
ダイヤル式のスイッチをひねりつつ踊り場まで登り、振り返ると……
【それはもう、見たこともないような、あられもない姿の美女がいるんです】
【ダイヤルは無意識でいっぱいに捻ります】