窓に映る顔は僅かに緊張した面持ちで、けれどその瞳は艶めいて潤んでいるようにも見える。
黒と見紛う濃紺のセーラー服、その胸元を豊かに押し上げる二つの膨らみ。
偶然、彼女と同じバスに乗り合わせた他の乗客たちは、車両中ほどに座る大人びた少女の持つ見事なボリューム感に、
どこか気まずそうにしつつもひと時の眼福を感謝していた。
まだ、気付かれてないよね――
胸元に視線を感じるたび、スカートの裾を握る細く白い指に力が籠る。
さり気なく身を捩れば、たわわな膨らみの先で敏感な頂が裏地に擦れて、ムズムズとしたくすぐったさが堪らない。
土曜の深夜、最終便の一つ手前の市営バス。
成熟した体つきには少し窮屈な制服姿――セーラー服とスカート、そしてソックスと靴、少しばかりのアクセサリーだけを身に着けた姿。
それ以外の何も――肌着どころかブラジャーやパンツすらも身に着けていない姿。
そんな危険な装いで、○○市の福祉課職員である霧谷夏澄は、地元から遠く離れたこの路線バスに乗り込んでいた。
何のことは無い。
大人びた少女なのではなく、大人が少女の姿を装っているだけ。
しかも、バレれば痴女同然の扱いを受けてもおかしくない、コスプレまがいの恰好をして。
公共の交通機関の中で、背徳的なスリルを楽しんでいる真っ最中というわけだった。
対向車線を大きくはみ出した乗用車をよけようと、バスが大きく揺れる。
セーラー服の中では、その揺れに負けないくらいに、見事な二つの実りが重たく弾んで。
思わず力のこもった二の腕の間で、挟まれた膨らみが黒い布地にその形をくっきりと浮かび上がらせた。