流れる車内アナウンスは、対向車線を大きくはみ出した乗用車をよけようとハンドルを切ったのだと伝えてくる。
何処からが夢だったのか。
目の前に中年男性なんて立っていないし、口の中に肉棒の感触など勿論無い。
な、何て夢を――
過激な夢を見たせいか、服の中で固くなっている乳首の存在をやけに強く感じる。
服の上に浮いてしまっていないかと、慌ててバッグで胸元を隠しつつ服装をチェック。
セーラー服の裾も、スカートも乱れは無い。
バッグの中のポーチから取り出した鏡で自分の顔をチェック……多少火照って赤くなっているくらいで、涎で口元が汚れてたりはしなかった。
次いで周囲の様子を窺うけれど、乗客たちの様子にも特に変わったところは無かった。
ホッと一安心したところで、先ほどの夢の内容をもう一度思い出す。
特に、やけに生々しかった口の中の感触を。
太くて、固くて、熱くて、汗臭くて――
ごくり、と喉を鳴らして首を振り、頭の中から追い出そうとしても。
味と匂いと感触とが、こびり付いたように脳内に留まり続けている。
鏡をしまい、バッグを抱く手に力を籠める。固くなった胸の先端がギュッと押し潰されて、少し切なく感じた。