>>179
目の前でつり革につかまり、こちらを覗き込んでくる男。
その腰の動き方は電車の揺れに合わせて、というには少々不自然さが目立つ。
何より目立つのは、腰の揺れ幅と一緒に近づいては離れてを繰り返す、内側から押し上げられたズボンのテントだ。

(中々のモノをお持ちですわね……♪)

などと流石の痴女も思わず息を呑むほどに、激しい自己主張を押し付けてくる。
けれど、同時に今はそれ以上の行為をしてこないだろうことも、エリカには分かっていた。
ここは電車の中で、今は周囲の視線が二人の方へと集まっているからだ。

(電車の中で、沢山の人に見られながら、というのも興奮致しますけれど……ちょっとリスクが大き過ぎますわ)

露出に飢えた彼女のバストは、今すぐにでも衆人環視の中に曝け出されたいと疼いてやまない。
ファスナーを下まで下ろしきって、はしたなく実った乳房を両手で持ち上げて。
恥ずかしがり屋の陥没乳首が外気と熱気とでぷっくりと膨らみ、おもむろに顔を出す様を披露したなら、どうなってしまうだろう。
きっと、久々に味わう露出の快感で頭が真っ白になった自分は、次の瞬間に取り返しのつかない破滅が待っていても気付けない。

(ダメ、ダメですわ、ステイですわよエリカ)

急ぐことはないのだ、と自分へ言い聞かせるエリカ。
次の停車駅までは、まだ十分に時間があるのだから、今はこの身に集まる視線の熱をじっくり楽しめば良い。
焦らして、煽って、ちょっとずつさらけ出しながら。

(あなた達の方から、我慢できなくなってしまうようになるまで、ね)

マスクの中で無意識に唇を舐め、男の顔を見上げてもう一度微笑むと、彼女は何事も無かったかのようにスマホへと視線を戻した。
実際のところは、スマホの画面を見るふりをしながら、視界の端に彼の勃起をしっかりと捉え続けているのだが。
そんな気配は微塵も見せず、まるで先ほどの誘うような微笑み自体が幻だったのではないかと、男が不安になるほどに。
彼女の姿は、周囲に対して無関心であるように見えた。
ニュースサイトでも見ているのか、あるいは何かの動画だろうか。
時々小さく独り言を呟いては、画面をタッチしたりスクロールしたりしている。
鈴を転がすような可憐な声。
滲み出る色香を隠そうともしない、ゴージャスなボディラインとはアンバランスな、清楚な響きを備えた声。
ベッドの上で可愛がってやったなら、さぞかし甘く蕩けて淫らに響くだろう、男心をくすぐる声。

「ホント、二ホンは蒸し暑いですわ……っ」

その声が、こう呟いた次の瞬間。
彼女はワンピースのジッパーをゆっくりと下ろして。
覗き込めば胸の谷間が露わになるのも構わず、そのまま金具を摘まんで前後させ始めた。
その度に、じっとりと蒸れてテカリを帯びたような、押し込められた二つの肉果実が男の視界に現れては消え、現れては消え……。

【お待たせ致しました♪】
【勝手に巨根として描写してしまいましたが、宜しかったかしら?】