季節は秋。読書、スポーツ、芸術――何をするにも良い季節。
おまけに緊急事態宣言も解除され、街中も少しずつ活気を取り戻しつつある今日この頃。
つまり、見られたがりの変質者にとっても、今の時期は絶好の……

(露出の秋、ですわ♪)

などとマスクの下で舌なめずりを一つして、エリカはつり革を掴む手に力を込めた。
黒のニット、ハイネックで長袖のワンピース。
太腿もあらわなミニ丈でタイトなデザインは、彼女の肉感的なボディラインをくっきりと浮かび上がらせている。
フロントジッパーの中へ無理やり押し込めた豊かな双丘を、電車のカーブに合わせて前のサラリーマンの背中へ押し当てながら。

(ああ、感じますわ……皆さんが、こちらを意識しているのを……)

都心へと向かう窮屈な満員電車の中。
チラチラと自分へ向けられる無数の視線に、白皙の美貌を薄く朱に染めて、彼女は艶めかしくため息をついた。