「もっと暴れたり抵抗するかと思いましたが……そんなことはないのですね
公務へのご協力感謝いたします」
そのスピーカーの声とともに入り口の周りの気配がほんの少し和らいだものになる
「説明の前に……その服に着替えてはいただけませんか?
それとしばらくはカメラを止めておきます、しばらくその機会がありませんので
お手洗いも事前に済ませていただければ
……もちろんレジーナさんの隠し持っていた怪しいものは全て回収させていただきました
あまり変なことはお考えにならないように願います」
そのまましばらく黙り込むスピーカー
やがて、レジーナがひととおりの身支度を整えた頃に再びそのスピーカーは鳴るだろう
あるいはそれは身支度を渋ったレジーナに根負けして発せられたものかもしれないが
「それではレジーナ・スティレットさんで間違いないことを確認したので本題に入ります
レジーナ・スティレットさん
本日はレジーナさんにこの国の治安を維持するための手助けをしていただきたいのです
平たく言えば……"病死"して頂きたいのです」
その言葉と共にかちゃりと扉が開き数人の屈強なスーツ姿のエージェントが現れた
「この国には今は死刑や終身刑といった言葉はありません
しかし、貴女のように再び社会に解き放つには危険な、あまりにも罪を犯しすぎた人間は存在します
……これはそのために必要な病巣を排除する処置と受け取ってくださいませ」