(少女は時々スマホに目をやりながら、パソコンのモニターをじっと見つめていた)
(そのモニターに映るのは赤黒い壁のダンジョンを進んでゆく魔術師の少女)
(通路の脇には悪趣味な拷問器具やムチ、そして杭の上に座らされている血まみれの死体のオブジェ)
(もしも学友たちがその画面を見たならば、茜への評価を変えてしまうかもしれない……隠れた趣味)
(だが、そんな不健全な趣味の時間でも椅子の上の彼女の背はぴんと伸びていた)

「ふぅ……」
(敵の群れを殲滅し、ひといき付く茜。背後から吹いてくる一筋の冷たい風)
「ドア、締め忘れてた……?」
(立ち上がろうとした瞬間――スカートを捲し上げ、股に顔を近づけている男に気付く)

「!?
え、え……と、あの……だ、だれ……!?」

(あまりのことに大声をあげることもできず
思わず反射的に蹴飛ばそうとするが慣れない動作に足は宙を切る。)

「誰、ですか……!?」