『殺されるのと初めてを奪われるの、どっちがマシだと思ってるの?』
「初めては……大人になってから、結婚する人と、と思ってました。
よく分からない相手に奪われるのは嫌なんです……。」
(だったら殺されるほうがマシなのだろうか……いや、そんな。
一瞬――頭の中をよぎったバカげた考えに思わず首を振る。
震える尻を撫でる不快な感触を頼りに、どうにか我を取り戻す。)
『じゃあお尻の穴に槍を刺すってのはどうかな?
たしかそうやって死んでいったレイチェルのイラストもあったような』
(そう言いながら後ろの穴に槍を近づけてゆく男の手。
見えなくても気配で、冷たさで伝わってくる。)
「いっ……いやです……そんな汚いところから死ぬなんて!
お願い、それだけは――やめて!」
(そう、そのイラストのレイチェルは膣穴から貫かれたものよりずっと
無惨で、ずっとむごたらしく、そして屈辱に満ちた表情に包まれていた。
あのイラストは……一目見ただけで思わず閉じてしまったのだ。
そう言えばあの攻略本は店の隅に、外からの風が入ってくるところに置かれていた。
ひょっとしたらその時、めくりあがったスカートの中身を見られてしまっていたのかもしれない。)
「そんなの、そんなの嫌だ……それぐらいなら!」
(続く言葉は出なかった、出なかったが男はその意を理解したのだろう。
尻穴を狙う穂先の気配は遠ざかる。)
「ほっ……」
(だが、次の瞬間)
『言っておくけどこれは練習だからね?』
(ずらしたショーツ。その女性器にぷにゅ、と入ってくる冷たい感触
背を向けているためそれが穂先なのか石突なのかは分からない。
切り裂く痛みは無くてもそれとは別の、押しつぶされるようなずきずきとした痛みが彼女を責めさいなむのだ。
やがて、どんどん進んでゆくその恐怖に……)
「わかり……ました。触っても大丈夫……です
だから、お願い……お願いだから、殺さないで……。
殺したく、ないんですよね……?だったら!」
(枕を抱き、泣き崩れてしまう。
レイチェルは、レイチェルはこの痛みや恐怖に耐えたのだろうか。
わたしがゲームオーバーになり、魔王の手に落ちるたびにこのような恐怖と戦ってきたのだろうか。)
「思う存分……触って……ください。それで満足できないならその時は……
その時は……貴方の……で……わたしの初めてを……警察には言いませんからどうか」