【ではエピローグ、書かせて頂きますね】
【長いので二つにわけます】

>>258

「ギェヘヘ…」

燃え盛る炎に包まれた街の片隅で――。
メイド服の少女に群がっていた醜い男どもが離れてゆくのを確認し、

「シェリル!ごめん、ごめんね…!」

あたしは物陰から飛び出した。


あのおぞましい事件から数か月が経った。
あたしの一番親しかった侍従の少女……レティシアはもういない。
彼女は辺境の貴族にレイプ同然の方法で処刑され、命を落とした。
一部始終をこっそり見ていた密偵の者が危険を知らせてくれなければ
そして、すぐに王城に帰るよう進言してくれなければあたしも危なかっただろう。

レティシアをどうして助けなかったの?そう言いたい気持ちはあったが
ぐっと堪えた。

親友であり、従兄でもあるルーシェももういない。
彼は許嫁の仇をとるとばかりに件の貴族との会見を取り付け
宴の席で死の魔法を込めたブロートソードで仇敵を斬りつけたのだ。
そして、その後、レティシアと同じ毒を込めた矢を膝に受け、悶死した。

――尤も、彼の切り伏せた相手が"本物の"貴族かどうかは分からない。
あの場でルーシェの命と引き換えに倒れたのが影武者だの替え玉という可能性も否定はできないからだ。


ともあれ。

そんな恐ろしい知らせが数か月の間に相次ぎ
やがて経済的に困窮した王国の経済を憂いた騎士団が半ば略奪目的で貴族領に侵攻。

更には領主への反乱や貴族たちによる王家への叛逆
その他様々な組織の憎悪がるつぼのように入り混じった結果……この国は完全に崩壊した。

「戦争」などと言える生易しいものではない。
「内乱」もしくは「内紛」「万人の万人に対する闘争」というべきか。