>>32

「酷い……?そう、これが貴女が研究してきた薬
貴女が命令だからと自分を誤魔化して進めてきた結果
自らの罪を悔い改める……再教育措置は成功のようです
本当に、本当に良かった……」

スピーカーの中の声はほんの少し柔らかなものへと変わった気がした
だが、すぐにそれは間違いだったと気づくだろう

「生まれ変わったら今度こそこんな道に入らないことを祈っております
我々のリソースは決して無限ではないのです」

ぴしゃりと告げる女の声

そうこうしている間にも、レジーナの筋肉を蝕むガスはより内側へと浸透してゆく
筋肉だけではない、今度は神経を、あるいは一部の臓器すらも……犯してゆく
もはやレジーナの体の制御権を握っているのはレジーナ自身ではない

ピリピリと痛む目が閉じられない

痛みを堪えて何とか吸い込む微弱な呼吸
やがてその酸素の効力すらも怪しいものになってゆくだろう

首を絞められるような、あるいは地上で溺れるような感覚へと変わってゆく

未だ動き続けるバイブレーターの周りから放たれる水音
先ほどトイレで感じたのと同じ感覚
後ろのほうを垂れ流さずに済んだのは幸運かもしれない

「血中濃度フェイズ3に移行しました
生命活動への直接的なダメージ、窒息状態を確認
最終段階フェイズ4に向け、レジーナ・スティレットの生体データの取得を続行します」