今日の予定は……っと
(学園の大学部で一人の少女がスマートフォンで時間割を確認していた)
(目深に被ったキャスケット帽から覗く黒髪に赤い瞳、外見はその瞳の色さえ除けば普通の少女と相違ない)
―ほら、早くいかないと遅刻しちゃうよ!
うん、すぐ行く!
(友人に声を掛けられると、手を振って呼びかけに答える)
(少女の名前は氷上 椿、学園には高校時代に妖魔とかかわりを持つようになってから通っていた)
(幼少より病弱で一時は死に至るような大病を患うようなこともあったが、ある一定の時を境に彼女のそういった病歴はぱったりと途絶えていた)
(その途絶えた理由が妖魔との関わりによるものであるということまでは多少能力に嗜みのある人であれば知っていることであった)
今日の授業も終わり……それじゃ、私先に帰るね!
(講義が終わると友人たちに別れを告げ、椿は一人足早にその場を去る)

……
(黄昏時、椿は駅前の繁華街で道行く人々を品定めするように見ている)
そろそろ食事にしようか……
(昼間、学園にいた時とは打って変わったような口調でぽつりとつぶやく)

(そして日は沈み、夜になると彼女はその正体を現す)
―ま、待ってくれ、助け……ッ!!
(道外れた路地裏で一人の青年が異形に襲われていた)
ふふっ、優美な花には毒がある……でしょ?
ほラ、逃げナイノ……面倒事は避ケたいんダから
(その異形は、椿その人だったモノだ)
(右手を青年へ伸ばすと、おぞましい肉塊が音もなく彼へ飛びかかりそのまま呑み込まれていく)
(椿の異形化した右腕が頭から青年を呑み込んでいく)
やっぱり肉ハ若くて新鮮ナ者に限るな……
(満足げに笑みを浮かべ、どこか人間らしからぬ声で呟きながら椿の姿をした異形は食事をする)

【よろしくお願いします!】