(肇が異世界に迷い込んで早数か月。不思議と日本語が通じる為、異世界の街でも比較的に不自由する事はなかった)
(というのも、ギルドがあり、魔物と呼ばれる異形を倒せば一先ずの生計が立てれたのだ。食物に関しても)
(日本に住んでいた時と似たような食べ物があり、寝床もギルド内に併設された宿がある為、これも不自由はなかった)
(しかしながら元居た世界に帰らなければならない為、ギルドで仕事しながらも肇はその方法を探っていた。)
(肇は退魔士として実践経験が豊富であり、瞬く間にギルド内で有名人となった。曰く異世界の騎士だそうだが本人は少しむず痒い様だ)
(全身ぴっちりしたスーツに身を包み、上から巫女装束を纏っている肇は異世界人から見れば異常に見えるのだろう。)
(そんな肇の元に、魔物の討伐依頼が下る。なんでも街から少し行った先の山奥の洞窟に、巨大なワーム状の魔物が巣食っているらしい)


…ふう。この洞窟ですね。成程嫌な気配がします…
手が追えないなら何においても撤退する事、だそうですが……ここからでは何とも言えませんね。
ともあれまずは入って見ましょうか…
(ギルドからも何名かが討伐依頼を受け、そして今だ帰ってきてはいない。その捜索も兼ねて実力者である肇に討伐依頼が来たわけだが)
(意を決して洞窟内に入り、そして警戒しながらも探索していく。薄暗い洞窟内で肇は呪符を用いて明かりを灯す。そしてゆっくりと魔物の気配を探りながら進んでいくと)
これは………。
(やや奥に行った所で、剣と鎧の残骸を見つける。それは間違いなくギルドの冒険者のモノ。ワームに襲われたのだろうか。周囲にはそれ以外に何も見当たらない)
(そうした事もあり、一層の警戒をしながら肇は進んでいく……)

【一先ず導入はこんなところでしょうか。】