>>43
(最奥部にたどり着いた肇だったが、これまでの道程が一本道である事)
(天井や壁から腐臭のする粘液が滴り落ちてきた事。そして微生物の姿一つ見当たらない事。
(そして魔物の気配が強まりつつも、なにもない事に違和感を覚えていた)
……おかしい、ですね。何もないなんてあるはずが…きゃっ!?な、なんですか!?
(突如として地面が揺れ動く。揺れ動くというレベルではない。洞窟全体が震動するような感覚が襲い掛かる)

くっ……そういう、事ですか……!この洞窟自体がワームだったなんて…!
(想定外の事態に、すぐさま来た道を戻ろうとする肇。しかし道は肉の壁にさえぎられてしまう…)
[臨兵闘者 皆陣列前行……我が前に立ちふさがる障壁を取り除け!巫術・火の鳥!!
(懐から符を取り出し、九字を切ると瞬く間に火の鳥となり、目の前の肉壁に激突する。しかし…)
嘘!無傷……!?くっ…はぁぁぁ!!!
(無傷と見れば、手持ちの短刀で切りかかる。それでも傷はなかなかつかず。そして切った矢先からガスが漏れ出て)
うっ………このガスは……だめ、吸い込んじゃ……きゃっ!?な、何……!?
(壁に集中するあまりに、背後から迫って来た触手に気が付かなかった。奥から伸びるそれは四肢に絡みつきすさまじい力で引き寄せようとする)
く、ぅぅ……………!!
(足元ガブヨブヨする中、必死に引き込まれまいと抗う肇だが、充満し始めるガスは防ぎようがなく、吸いこんでしまう)
う、ぅ…………霊力が、練れない…それに、身体が………あっぅ………
(霊力が、絡みつく触手にギュルギュルと吸収されていく。同時にガスが身体を蝕み、全身から力を奪い始め…程なくすればその場にどさり、と倒れ込み意識を失ってしまう…)
(ズルリ、ズルリと気を失った肇は奥へといざなわれて…)

【いえいえ、此方こそ遅くてごめんなさい…】