>>464
絶対に嫌です。お断りします、と言ったらどうするんですか?
(スピーカーから流れる下品な言葉に臆病な心にも、怒りという感情が芽生える)
(それを反抗の糧にし、目の前の双頭の黒犬に向かってハンマーを向ける)
(たとえ一度は敗北しても、まだ力を失っていないという事実が勇気を生み出したのだ)
(しかし、その勇気を嘲笑うかのように漂う臭いが鼻をくすぐる)

……収まって、二度は……通じちゃ、ダメ……
(目はどうしてもにじり寄ってくる黒い身体にぶら下がる、頑なったそれを追ってしまい)
(敗北を喫してしまったあの時よりも、心臓の鳴る音は大きくなってしまっている事を自覚してしまう)
(身体は熱を持ち、身に纏うドレスを湿らせて……)
(自分を倒した強い雄に屈してしまえと、得物を持つ手を鈍らせる)

お願い……! 倒れて、しまえ……!
(そうなってしまってはチャンスは一度きりだ、体勢を整える間も無く大きく振りかぶってハンマーで押しつぶそうとする)
(しかしそれは、敗北を喫してしまった時と比べても欠伸が出る程遅くて軽い、なんてことない一撃になってしまい)




【ありがとうございます。よろしくお願いします】