(いつもの日常――そうとしか形容しようのない時間が数日続いた)
(男子高校生・鑑ヒカルもまた本分としての勉学に励みながら)
(頭の片隅には数日前に逃がしてしまった敵のことが常にあった)

〔今日もまた何も起こらない……それに越したことはないけど〕
〔いつまた奴が来るか分からない…心の準備はしておかないと〕

(終業のチャイムが鳴り、それぞれの時間を過ごし始める生徒たちに混じって)
(帰り支度を始めようとしたその時、一人の女生徒が近づいてきた)

…?俺に何か用…?え、ちょ、近いって…!
……っ!?
(そのまま顔を至近距離まで持ってこられ戸惑う)
(その直後耳元で聞こえたのは思いがけない言葉だった)

(踵を返し立ち去る女生徒の背中を見つめながら)
(誰にも聞かれていないことを確認すると席を立ち追いかけた)

…ここでいいの?
(校舎のはずれ、めったに使われない空き教室に誘われる)
(女生徒の様子を伺いながら語りかける)

…さっきの、一体どういう意味なんだ
キミは俺に何を……?