>>99
(喫茶店から出た少女の後ろ姿を、少し離れてついていく影がある)
(はーはーと、興奮を押し殺したような息をしながら、ぎらついた目で少女を見つめていた)
(彼女が人けのない路地に入り込めば、ニタリと唇を歪めて笑い)
(ごくりとツバを飲み込んで、小走りで距離を詰め、覚悟を決めて声をかける……)

そ、そ、その歌声と後ろ姿は……も、もしかして、アイドルの園川杏ちゃん?
こ、こんなところで会えるなんて、驚いたなぁ……!
あ、いきなり声をかけて、ごめんね? お、おじさん、杏ちゃんの大ファンなんだ……!
今までに出たCDとか、イメージビデオのDVDとか、全部買ってるよぉ♪

(幼いながらも気品のある少女……園川杏を呼びとめたのは、彼女とは真逆の、下品そうな中年男だった)
(でっぷりと太っていて、頭はハゲ気味。顔は赤らんで汗ばんでおり、ニタニタとだらしなく笑っている)
(着ているものは、ところどころ擦り切れて穴のあいた、古そうなジャージだ)
(お世辞にも、女性から好感を持たれるような容姿ではない。それどころか、不審者のお手本のような姿だ)
(しかしそれでも、彼は勇気を出して、杏に声をかけた)
(この少女が、純粋で優しい性格の持ち主だということは、ファンの間では有名だったからだ)
(人を外見で差別せず、分け隔てなく接する天使のようなアイドルだと、彼はよく知っていた)
(そして、そういう無垢な少女を、自分のだけのものにしてみたいと、常日頃から思っていたのだ)

う、嬉しいなぁ……ライブでも映像でもなく、こんな近くで大好きな杏ちゃんを見れるなんて……!
よ、よかったら、記念に握手を……あ、いや、待てよ……握手だったら、握手会でしてもらえるし……。
き、記念だから、もっと、特別に……は、は、ハグ、お願いしたいんだけど……だ、ダメかなぁ……?

(いやらしい笑みを顔に張り付かせたまま、男は両手を広げて、杏ににじり寄る)
(彼のはいているジャージの股間部分は、まるでテントを張ったようにパンパンに膨らんでいて)
(彼が善良なファンではなく、杏のことを邪な目で見ている変質者であることを物語っていた)

【書き出しありがとう! イタズラさせてもらうから、よろしくねぇ♪】
【ハグさせてもらえたら、そこからなし崩し的に他のことも期待できそうだねー】
【むふふ、抱きついたらもう、蝶が蜘蛛に捕まったも同然だからね】
【変態中年男の薄汚い欲望をひとつずつ、12歳の女の子にぶつけていくよぉ♪】