アイドル活動が順調になってくれば自然と忙しさも増してくる
楽しんで活動しているからそんなに苦ではなくても、オフの日に一息つく楽しみもまた増すようになって
そんな杏にとっての休息はお気に入りの喫茶店でゆっくりと過ごす時間
最初のうちはは両親と一緒だったものの、今では一人で通っている
顔馴染みの店員も何人かいて、SNSに上げた写真やライブを見たよと言ってくれると嬉しくなる
その日は平日だったけど学校の記念日とオフがちょうど重なったのもあって朝から喫茶店に
お喋りと一緒に大好きなカフェオレを堪能して、喫茶店を出た時にはもうお昼近くになっていた

ベルを鳴らしながら木製の扉を開けた先は、街路樹の並んだ少し広めの通り
お昼近くといっても正確にはまだ正午には30分くらい時間があって、人通りはほとんどない
この日の服装はクリーム色のニットセーターに薄ピンクのフレアスカートを合わせた少し春に近い雰囲気
黒髪を隠すように被った大きめのベレー帽は一応アイドルなので変装のつもり
顔はほとんど隠れてなくて、ファンでなくても知ってる人が見れば気付くのは簡単で
たとえアイドルとして知らない人でも、満足そうな表情を浮かべた愛らしい少女となれば自然と見てしまいそう

杏自身はしっかり街に溶け込んでいるつもりで、次はお洋服を見に行こうと考えながら通りを曲がる
ただでさえ人の少ない通りからさらに誰もいないような細い裏道へ
抜け道として知っている人は知っている道だけど、平日ともなれば利用者が少ないのも当然
「〜♪」
新しく歌う曲の練習に少し口を動かして発声を確かめながら進んでいく

>>98
【こんにちは。素敵なお声掛けをありがとうございます♪】
【握手やハグはすんなり受け入れそうですけどキスは押し切ってもらう必要がありそうですね】
【ハグはきっと普通のハグじゃないですよね…? 少し疑問に思うかもしれませんが、細かく聞いたりはしないと思いますので】

【早速ですが書き出しを用意してみました】
【私としてはファンサービスのつもりでも、周りの人に見られたら大変なことになりそうなので裏道にしてみました】
【人前で見せつけたい場合は移動しても大丈夫です!】