……ここには……居ない?
(玄関に入った桜)
(悪霊が襲いかかってくるような気配はなく、ここには存在が確認できない)
(しかし、その気配は家の至るところにこびりついている)
(そして暗い廊下の先からは、確かに悪霊の声が聞こえてきそうで……)
(一呼吸を置き、外からの僅かな光だけを頼りに、桜は一歩一歩廊下を進んでいく)
(手には札を持ち、臨戦態勢である)
いつ出てきてもおかしくありません。
注意深く進まないと……
(先の見えない廊下を、悪霊を探しながら進んでいく桜)
(だが、桜は気付いていなかった)
(玄関にあった鏡が、不自然に自分の姿を写したままであったのだ)