……はい。
(胸が張り裂けそうな思いをしながら、それを飲み込んでいた)
ええ、そうですよ。
ですが、圧倒的に違います、品性が。
(レナは知らなければ知ろうとする人間であり、自分の考え優先では無いと確信していて)
(世間知らずなのは確かだが、品性が違うと苦しむ姿を冷たく見ながら言って)
……ぷっ、ははっ、本気で言っているのだとしたらもはや哀れですね。
守護する巫女、ね……国の何を守護するのやら。
真の高貴さは魂から滲み出るもの、不断の努力によって保たれるものです。
少なくともその辺りの野盗とお前は何も変わらない。
(高貴さをアピールする姿を見て、珍しいくらいに挑発的に笑うと哀れだと言って)
(他人を見下すものが護る国とは国の体制であって、それだけでしかないだろうと推測していた)
「王族もこの世には数多いるわ、あの手のは掃いて捨てる程いるから珍しくもないけれど」
(エレナもその立場から色んな存在を見てきた事もあり、吐き捨てる様に言い放った)
お願いしますね……。
それなら、良かったです、そんな事になったら私は……。
ゆっくり、休んで下さい。
(その凄いのを考える事で何か活力が生まれればと思ったが、声に力が無く、内心泣きそうなくらいで)
(戻って来れたという言葉に喜びつつ、心が奪われると聞くと心臓が鷲掴みにされた気すらして)
(休むレナをぎゅっと抱きしめながら枷の色が変わるのを冷静に見つめていた)
「いいわね、では今からやるわよ」
「……邪術を用いて、更にこちらを敵に回した事、後悔では済ませない」
「ソフィア、しっかり押さえておきなさい」
(薬はガラス製のフラスコに入っており、蓋がしてあった)
(エレナの言葉を聞いたソフィアがレナを後ろから抱きしめると側まで寄って)
(レナの顔の下で蓋を取ると煙状になって立ち上るとレナの呼吸に従って体内に入り込んでいく)
(明滅するまでに光りを発する枷を横目に見ながら煙は全てレナの身体に入って)
(胎内の異質な魂を触れると同時に消滅させ始め、出て行かざるを得ない状況に陥らせる)
(その煙が満ちたレナの身体やレナの魂自体はむしろ守られてさえいた)
(クレイトンに指示をして予め置いてあった人形がレナから少し離れて置かれる)
(出てしまえばそこに吸い込まれ、中の水晶球に閉じ込められれば魔力さえ行使出来ない太后が付与した特性すらあり)
(もはや風前の灯と言えた)
【済みませんが、ここで凍結をお願いします】
【次回ですが、土曜日の22:30からでお願いします】