>>25
続いては青いもの。君には、青の祝福をあげよう
(取り出したのは、青い、絵の具を溶いたかのような怪しい薬剤。アンプルに入れられた、それを、ちゃぷりと揺らして見せつける)

特別製の薬、君を幸福に導く薬だよ
多幸感のなか、心の抵抗を麻痺させ、余計なものを漂白する……
さ、怖がらなくていい。注射くらいで泣く歳でもないだろう?
(ぐいっとナオの手を押さえ、肘の内側の静脈を探して……針を近づける)
(か細い抵抗は力で押さえつけ、ぷつり、と、ナオの体へ取り返しのつかない薬物を投与して)


(ざぶん、と、水のなかに落ちるような感覚がナオを包む。その水は、心地よく、寒いと思えば仄かに温かく、暑いと思えば爽やかに冷たく、呼吸が苦しいとも感じない)
(揺りかごのように、静かな波に揺蕩う)
(すべて、薬が見せる幻覚。抗いがたい安らぐ水中にいる幻覚。あたりは一面、水の青に包まれる、幻のなか)
『力を抜いてください』
(低く、静かな声音が、水のなかで響く)


【申し訳ありません、どのように進めるかに迷い、大変お待たせしてしまいました】