>>26
くす……り?な……そんなもん要らん!!やめ…なんやねんその注射器…
それに変なクスリ…うあっ、ぁぁ…嫌や!近づけんといて…!!
(目の前でアンプル内に入ったどこまでも蒼いアンプルを揺らす悪魔)
(手際よく注射器に入れ、ゆっくりと二の腕へと針を押し付けてくる)
(そして薬液が注入されると同時、ナオの瞳から意志の光が消えた…)


ん、ここ…どこや…今私、悪魔にヘンなクスリを打たれて……
なんやろ…凄く、気持ちいい…熱い様な、寒い様な…地面がない……
身体が宙に浮いてんのかな…あぁ、でも…きもちいい…なにも…考えたくない…
(まるで海の中を漂う様な感覚に陥る。心地よいさざ波の音が聞こえてくる様。)
(揺り籠の中で揺らされている感覚…強烈な眠気が押し寄せてくる。なにも考えたくない)
(考える気力さえ失われていく…この感覚にもっと浸りたい…そう思えてならなくて)
(これが薬によって見せられている幻なのだと、今の菜緒に気づくだけの気力はない。そんな中で語り掛けてくる声は優しくて)

『力を抜いてください』

……うん…?なんやろこの声、どっかで聞いた事ある…
ううん…どうでもええわ…力を抜けばええんかな……
(意識の海の中で、ゆっくりと全身を脱力させていく。従う事が気持ちよく思えて)

【いえ、大丈夫ですよ。】