>>27
(静かに、水が揺れる)
(ちょうどいい温度、ものは見えるけれど、落ち着くような落ちついた暗さ、)
(体を揺らし、このまま眠ればどこまでも心地よく落ちていけそうな、静かな世界)
(ナオは言われるまま力を抜いて……より深い安心を、癒しを得る)

『余計なことを忘れましょう。日々の暮らし、学校、仕事……戦い、将来、今一時、忘れて、休みましょう』
『五まで数えると、余計なものを忘れて、今の心地よさだけ考えられます。いち……に……さん……』
(今一時だけ……そう嘯いて、ただでさえ弱まった心の抵抗を欺いて)

『よん……ご。もう、今の気持ちいい、だけになる。余計なものはもう思い出したくない。いらない』
(今一時が、始まってすぐに、ずっとになるよう囁く)


(弛緩したナオの体を横たえ、悪魔は囁く。とびきりの、天使の認めた少女への花嫁修行のために)
(些か過ぎるやんちゃを摘み取るべく、吹き込み続け)