>>28
(ゆったりと揺れる。それこそ本当に揺り籠に入れられているかの様に。)
(漂うのが心地よい。声に従うのが心地よい。もっとこうしていたい。甘い誘惑に包み込まれていく)

『余計なことを忘れましょう。日々の暮らし、学校、仕事……戦い、将来、今一時、忘れて、休みましょう』
『五まで数えると、余計なものを忘れて、今の心地よさだけ考えられます。いち……に……さん……』
…全部、忘れる……学校の事も……日々の暮らしも…将来の事も…
戦い………?戦うってなに…ううん、今は…この時だけは…忘れて気持ちよく……
(カウントダウンが始まる。と同時に瞼を閉じて全身を弛緩させてしまう)
(深い、深い眠りへと誘われていく。気持ちいい。抗いたくない。心のそこからそう思ってしまう)
(何故抗っていたんだろう。そもそも何に対し抗っていた?今しがた起きていた事さえ思い出せなくなっていく)

『よん……ご。もう、今の気持ちいい、だけになる。余計なものはもう思い出したくない。いらない』
きもちいい……余計なモノ……思い出したくない……あぁ、そう、や…思い出したく…ない……。
なにもかも……忘れて……ずっと、きもちよく………

(くたり……と先ほどまでとは違い穏やかな表情で、眠る様に身体を弛緩させてしまう)
(それは先ほどナオが見た暗示に陥った女性の様。自分もまた、人形化への階段を登らされていると言う事にさえきづけない)