>>35
『そう。忘れないよう、繰り返して。ナオは幸せ。お嫁さんは幸せ。だからナオは、幸せなお嫁さん。ナオは幸せ。お嫁さんは幸せ。ナオは幸せなお嫁さん……自分がお嫁さんだとわかると安心する。幸せを実感する。さあ、もっと続けて。ナオは幸せ。お嫁さんは幸せ……』
(続けるよう促して、しっかり、“お嫁さん”だと定着させていく。空っぽの隙間を、言葉だけの幸せで埋めさせていく。)

『もう怖くない。幸せだから、不安もなにもない。目が覚めても、ナオは、幸せなお嫁さんだから。幸せだから』
(たっぷり、自らの言葉でもって、自己暗示を強める。自分の手で、がんじがらめにさせる)
(他にはなんにもない、空虚な人形嫁へ、あと一歩のところへ、連れていって)