>>36
『そう。忘れないよう、繰り返して。ナオは幸せ。お嫁さんは幸せ。だからナオは、幸せなお嫁さん。ナオは幸せ。お嫁さんは幸せ。]
ナオは幸せなお嫁さん……自分がお嫁さんだとわかると安心する。幸せを実感する。さあ、もっと続けて。ナオは幸せ。お嫁さんは幸せ……』

私は幸せ…お嫁さんは幸せ…私は幸せなお嫁さん…私は幸せなお嫁さん…
私は幸せ…幸せなお嫁さん…私は幸せなお嫁さん…私は幸せなお嫁さん…
(畳みかける様な言葉の嵐。自分は幸せなお嫁さんなのだと自覚させられていく。)
(そう、自分は幸せ。お嫁さんは幸せ。自分は幸せ…何度も何度も反芻していく)

もう怖くない。幸せだから、不安もなにもない。目が覚めても、ナオは、幸せなお嫁さんだから。幸せだから』
はい……もう、怖くない…目が覚めても…私は幸せなお嫁さんやから……
(自分は幸せなお嫁さんなのだと、自己暗示にも近い強烈な暗示が刷り込まれてしまった。)
(そうすると身体が急に軽くなり、ゆっくりと身体が浮かび上がっていく様な感覚に陥っていく…)

………うっ、んっ………ここ……は………
(意識が戻る。そこは教会のチャペルの様で。どうして自分はこんな所にいるのだろうか。思い出せない)
(しかし解る事が一つある。それをゆっくりと口にだしていく)

私は……お嫁さん……幸せな、お嫁さん……
(か細くだがそう呟き、虚ろな瞳で周囲を見渡す。すると目の前には自分が討伐しようとした悪魔がいて)
(けれどもナオはなにをするでもなく、見つめてしまう。まるでなにかを待つかのように)