「ええ、瀬石さんも元気そうで何よりだったわ。」
「そうね、ちょっと大変だった…でも、今はだいぶ落ち着いたのよ?」
「新しい自分を知ることができたっていうか…」
(かつての教え子の視線が、時折知らないものを見るようなものになっている)
(それは悲しいことではあったが、だがその悲しみすらも女には刺激になってしまっている)
「そう、そういうお客さんもいるのね…でも大丈夫、そういう人はきっと単純だから…」
「それに、意外とそういうお客さんとの出会いも、どこかでプラスになるかもしれないしね?」
(瀬石好にとっては、「いやらしい人」とはかつて教え子に手を出した自分も該当するかもしれない)
(だがそれがあったからこそ女は新しい扉を開いて、こうして「彼」に従うことに喜びを覚えている)
(その後、瀬石好と買い物に一緒に行った女は、好の体型の情報を聞き出し、一緒に下着を選ぶ)
(女が好に似合うといったのは、ちょっときつめにも感じられる赤い下着…おそらく白いシャツでは透けてしまうかもしれないもの)
(なお女も一緒に下着を買ったが、それは装飾自体がやや透けており、大事な場所が見えてしまうかもしれないようなもので)
「瀬石さんにはちょっと恥ずかしいところを見られちゃってるかもね…先生がこんなだって、他の子には内緒にしといてね?」
「でもね、こういうのを身に着けてると…何というか、逆にシャキッとできるのよね。誰かに見られてるかもって気持ちが、身を引き締めるのかも」
(本当は単純に「彼」の好みでしかなく、羞恥心を煽る行為なのだが、口からはどんな出まかせも出てくる)
「それじゃあ瀬石さん、また会いましょうね。」
「瀬石さんも、何か相談事があったらいつでも私に言ってね?」
(そんな買い物をしつつ、別れ際には頼れる先生の顔を何とか取り繕う女)
(一方男は、ここ数日撮影した瀬石好みの盗撮写真…不動産屋のビルに入るところや、例のカフェのスカート姿をポストに入れていた)