【それでは、そんな雰囲気でやってみましょうか】
森の中、柚子は道に迷い、迷って、そこにたどり着いた。
土汚れにまみれ、老朽化のサビや黒ずみ、細かなヒビで飾られた廃墟のような館。古いが、それでも昭和の間に建てられたものだろうか、一応は鉄筋コンクリートで造られていそうだ。
門の鉄扉は特にボロボロになり、既に蝶番が壊れて、倒れていた。
そんな打ち捨てられたような館を前にして、
急に、ぽつ、ぽつ、と柚子の肌を水滴が打つ。
雨が降り始めた。このままなら体を冷やしてしまいかねない。携帯も圏外ですぐ助けを呼べる状況にない。
また、風も強く、玄関前のひさしでも雨を避けきれそうにない。
柚子が一か八か扉に手をかければ、そこに鍵はかかっていないようだ。
玄関に入れば、まず靴箱の上に、洋の東西を問わない、宗教的な、また呪術的な人形が埃をかぶっている。広い玄関に靴は出されておらず、生活感は見て取れない。
先の方は暗く、ドアからの明かりではあまり見通せない。
【導入については、少し確定になりますが、ご了承ください】
【好奇心に加え、身を守るためにそうせざるを得ない、という言い訳として雨を用意しました】
【以降はこのような確定はいたしません】