どこか……どこでもいいから……あの生き物たちのいないところに……
(自分から死地に赴いたにもかかわらずそう泣き言を呟きながらリンはダクトの最奥へと到達する)
きゃっ…………ここは……?
(自身もどこへ進んで何があるのかもわからないまま進んでいたために無様にダクトから転落してしまうが、蟲の快楽に耐えながら壁を伝って立ち上がる)
(久しぶりの明かりに目を細めながら周囲を確認するとベンチと流しの設置された休憩室のような部屋が広がっていた)
……まだ何かいるかもしれない
(すぐにダクトに逃げ込めるように身構えているが数分待っても何もいる気配はなく、ここが安全な場所であると自覚する)
…………本当に、安全なんだよね?
(周囲を何度か見まわした後、ベンチに座り込むと安心して息をつく)
流しがあるなら……少しでもこれを落としておきたいな……
はは……今の私…………本当に……
(服や髪には粘液に汚れ、袖や首元にはウジのような虫が時折顔をのぞかせる)
(この施設で他の人に見られたら自分自身もここに潜む実験生物の一つと勘違いされそうな見た目に渇いた笑いが零れていた)
粘液だらけだと何もできないし……何よりも気持ち悪いから……
(流しの水が出ればそれで手と顔を粗い、ベストを脱いで水に浸しそれらの粘液を拭き取ろうと試みる)
んっ…………
(だが、そうした休息の合間にも体内に潜む蟲や卵は蠢きその存在をリンも近くせざるを得なかった)